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デビアスのラボグロウンダイヤモンド生産停止が意味することとは



先週末にラスベガスで開催されたJCKショーで、デビアスのCEOであるアル・クックは、LIGHTBOXブランドのラボグロウンダイヤモンドの生産を停止すると発表しました。


「ラボグロウンダイヤモンドの価値は、ジュエリー分野ではなくテクノロジー分野にあると信じている。」と同氏は述べています。


デビアスのラボグロウンダイヤモンド部門であるエレメントシックスは、3つのCVDプラントをオレゴン州ポートランドにある施設にすべてを統合し、ここを産業用途のダイヤモンドを生産するテクノロジーハブに転換するとのことです。またデビアスは、エレメントシックスを「ラボグロウンダイヤモンドテクノロジーソリューションのリーダー」にすることを目指しており、「すべてのリソースを単一の世界クラスのCVDハブに集中させる。」と述べました。


この発表は実質的に、2018年のLIGHTBOXジュエリーの発表から6年間にわたって続けてきたデビアス独自のラボグロウンダイヤモンド生産を終了させるというものです。2018年以前からエレメントシックスは産業用途また研究用途のラボグロウンダイヤモンドを生産しています。


ラボグロウンダイヤモンドの生産を終了させるものの、LIGHTBOXブランド自体は小売ブランドとして運営を継続するとデビアスは発表しています。同ブランドは「当面の間」販売を継続できるだけの在庫を保有しており、その後また方向性を決めると述べていますが、クック氏が「LIGHTBOXの提案の中核は、カーボンニュートラルであることだであり、米国製であることに非常に誇りを持っている。ブランドのその要素を維持するつもりだ。」と述べていることから、現時点ではブランドの廃止は検討されていないと考えられます。


LIGHTBOXは2018年の発表から現在に至るまで、特にラボグロウンダイヤモンド業界では様々な意味で注目を集めるブランドでした。天然ダイヤモンドの鉱山企業としてデビアスは「合成石は特別でもユニークでもない」という信念と姿勢を貫いていました。しかし2018年、同社はラボグロウンダイヤモンドの小売りブランドであるLIGHTBOXを発表、ダイヤモンド業界に衝撃を与えました。


しかしデビアスは自社がラボグロウンダイヤモンド市場に参入した後でも「合成石は特別でもユニークでもない」という姿勢を貫いています。つまり、デビアスのラボグロウンダイヤモンド市場への参入は(もちろん収益性を考慮していたと思いますが)、天然ダイヤモンド企業として、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの明確な差別化を図るという意図があったと考えられます。


これは発表当時の「天然ダイヤモンドがレッドカーペットだとしたら、ラボグロウンダイヤモンドはカジュアルなジーンズだ。ジュエリーではなくカジュアルなアクセサリーである。」というメッセージによっても推察することができます。また、LIGHTBOXが採用した、サイズに関わらず800ドル/カラットの単一価格(当時)という直線的価格設定、天然ダイヤモンドと同じグレード基準を採用せず鑑定書をつけないという決定からも裏付けられます。


つまりデビアスはLIGHTBOXによって「ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドの代替品ではなく別物で、ファッションのためものものである」というメッセージを消費者に伝えようとしていたと考えられます。


2018年当時、特に1カラットのラボグロウンダイヤモンドが800ドルという価格設定は市場価格から考えても破格的に低い設定であり、デビアスが天然ダイヤモンドとの価値(小売価格)の差別化を意図していたと考えられます。(現在では600ドル/カラットに改定)


一方でこのLIGHTBOXの誕生は、恐らくデビアスの意図とは異なり、業界と消費者にとってラボグロウンダイヤモンドに一定の地位を与える結果となりました。「デビアスがラボグロウンダイヤモンドを販売している」という事実は、業界と消費者にとってこのカテゴリーに対する信頼感を与えることになったのです。


デビアスがLIGHTBOXジュエリーを天然ダイヤモンドの戦略の一部として使用してきたことを考えると、今回の発表は驚くことではありません。デビアスは常に天然ダイヤモンドをその事業の中核としており、LIGHTBOXはラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドの市場を分割するための役割を担っていました。そしてLIGHTBOXによる特異な価格設定、婚約指輪のテストと中止などは全てこの目的に一致しています。


デビアスは今後ポリッシュダイヤモンドの販売、そして自社の天然ダイヤモンドブランドであるデビアスジュエリーの強化も発表しており、天然ダイヤモンド企業としてデビアスの方向性と全て一致しています。


LIGHTBOXジュエリーは今後も継続すると同社は発表しており、今回の発表は天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの市場が共に健全に発展していく兆しだと考えられます。

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