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韓国の研究チームが開発した「第3のラボグロウンダイヤモンド」



韓国の基礎科学研究院・多次元炭素材料センターや蔚山科学技術院などで構成された研究チームが、新しいラボグロウンダイヤモンドの作成法を発表しました。

通常のラボグロウンダイヤモンド(HPHT法)は地球内部のダイヤモンド成長環境を人工的に再現しており、それには高音高圧(1000~1500℃、5万気圧)が必要です。


今回、韓国のチームは「第3のプロセス」とも言える「液体金属合金を使って、常圧(大気圧)で種結晶を使わずに短時間でダイヤモンドを作りだす方法」を開発したと発表しました。この研究成果は総合科学学術誌「Nature」に4月24日付けで掲載されたものです。


この、韓国の研究チームが開発した方法は、メタンガスと水素で満たした小型チャンバーに、ガリウム、ニッケル、鉄、ケイ素の4種から成る液体金属合金を入れるというものです。


必要な温度は約1025℃と高音ですが、高い圧力を必要とせず、大気圧でダイヤモンドを成長させることが可能です。また、種結晶を使わずに従来のプロセスの12分の1の製造時間でダイヤモンドを成長させられるとのことです。上記の4種の元素を77.75%、11%、11%、0.25%(原子百分率)の割合で混合したときに、最も効率よく成長したといいます。


種結晶なしでダイヤモンドが成長する原理は実際今の所未解明で更なる研究が必要だということですが、研究者たちは「炭素とケイ素は結合に関して類似性した性質を持つので、ケイ素原子を含む炭素クラスターがダイヤモンドの前駆体として機能している可能性がある」と説明しています。


但し、現時点ではダイヤモンドの成長が約150分で止まるため、薄膜状のみが得られるようです。研究チームは成長時間を延長し、サイズアップさせることを現状の課題としています。


今回の韓国研究チームのラボグロウンダイヤモンドは量子コンピューターの実用化に寄与する可能性もあるとして期待されています。量子メモリーを用いる量子中継で現在有望視されているのは「ダイヤモンドNVセンター」と呼ばれる物質です。


ダイヤモンドNVセンターは、ダイヤモンド中の炭素のいくつかを原子番号が隣である窒素に置き替えた物質です。置き換わるとダイヤモンド内に空孔が生じて、そこに電子が集まり、量子メモリーとして扱えます。


半導体の量子メモリー数ナノ秒程度しか量子状態を保持できないのに対して、ダイヤモンドNVセンターは数秒から数分にわたって量子状態を保持でき、しかも冷却の必要がありません。


韓国研究チームのラボグロウンダイヤモンドは、一部の炭素がケイ素と置き換わり、「シリコン空孔カラーセンター」を作っています。共著者のMeihui Wang博士は「シリコン空孔カラーセンターを持つ我々のダイヤモンドは、量子コンピューターや磁気センシングに応用できる可能性がある」と説明しました。


このようなラボグロウンダイヤモンドの技術ブレイクスルーの情報は、ラボグロウンダイヤモンドが宝飾分野や産業分野で更なる拡大の可能性を持っていることを表しています。

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