アメリカ・ニューヨークを拠点として世界中に支部をもつ宝石鑑定機関、GSI(Gemological Science International)は、天然を装ったピンク、イエロー、ブラウンなどのカラーのラボグロウンダイヤモンドがセットされたジュエリーが増加しているとして、業界へ注意を促しました。
これらのジュエリーはグレーディングのためにGSIに提出され、それらには天然カラーダイヤモンドと混合してカラーのラボグロウンダイヤモンドが含まれていた、とGSIは説明しました。これらのラボグロウンダイヤモンドの多くは単一の窒素原子を含むType IIaで、サイズはメレから1ctまでの範囲だったとのことです。
これらのダイヤモンドには、天然ダイヤモンドの特徴として知られるフラクチャー、ピンポイントクラウド、磨き残し、ブラウンの粒線などが確認されており、これらは天然ダイヤモンドを模倣するために意図的に作られたものだとGSIは述べています。また、これらの特徴により、一般的な宝石鑑定機関ではこれらが天然ダイヤモンドとして判断される可能性があるともGSIは指摘しています。
また同社は、「市場に流通しているダイヤモンドのスクリーニング装置(天然とラボグロウンを簡易的に見分ける装置)は、白に近い無色のものを対象として設計されている(カラーダイヤモンドは判別できない)ため、課題が生じる。」と述べました。
またGSIは、ラボグロウンダイヤモンドの技術発展がこのような天然ダイヤモンドの複製を増加させているとも指摘しています。
昨年末にはイタリアの鑑定機関であるGem-TecでGIAの天然ダイヤモンドのレーザー刻印を偽造したラボグロウンダイヤモンドが報告されており、またIGIでも6ctsのラボグロウンダイヤモンドで同様のケースを報告しています。GIAはこれに対して措置を発表しています。
ラボグロウンダイヤモンドの技術は日々進化しており、高品質なダイヤモンドが製造できるようになっています。しかし、ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドとは異なる価値を提供するものであり、天然ダイヤモンドの価値と信頼を毀損することがあってはなりません。
ラボグロウンダイヤモンドを取り扱う際には、適切な情報の開示、信頼できる企業との取引、そして最新の知識のアップデートなどに努め、信頼できる市場形成をお願い致します。
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