米国のジュエリー市場調査会社「Tenoris」は、2023年9月の米国ダイヤモンド小売市場についてのデータを発表した。
多くのメディアでも述べられているように、9月のアメリカのダイヤモンドジュエリー市場の状況は好調とは言えない。全体の9月のファインジュエリーとダイヤモンドの小売総額は前年同期比で8.6%下落し、数量ベースでは3.8%下落した。平均小売単価は前年同期比1.7%下落し、1,677ドルとなっている。ほぼすべての部門の市場は縮小したため、今年1〜9月の販売総額は8.1%の減少となった。
ダイヤモンドジュエリー
天然ダイヤモンドジュエリー小売市場
・売上総額:-9.1%
・売上数量:-8.1%
・粗利率:48.4%
ラボグロウンダイヤモンドジュエリー小売市場
・売上総額:+47.3%
・売上数量:+64.4%
・粗利率:57.8%(+5.2%)
米国のジュエリー小売店のうち68.3%がラボグロウンダイヤモンドジュエリーを販売、そのうち
・41.7%がピアスを販売
・35%が婚約指輪を販売
・16.4%がブレスレットを販売
・15.1%がネックレスを販売
その中でブレスレットを販売する小売店の割合は前年同期比90.7%増加し、ネックレスは+58.9%、ピアスは28%、婚約指輪は28%増加している。
ルースダイヤモンド(裸石)の小売に関しては、9月にアメリカのルースダイヤモンド(天然+ラボグロウン)の販売総額は前月比15.2%減少し、数量ベースでは10.3%減少した。消費者一人当たりのルースダイヤモンドに対する消費は前月比1.8%減少した。
天然ダイヤモンド
・売上総額:前年同期比-23.2%、前月比-17.4%
・売上数量:前年同期比-20.5%、前月比-12.3%
売上が増加したカテゴリー:
・5.00ct:+167%
・1.80-1.89ct:+45.5%
売上が減少したカテゴリー:
・4.00ct:-40%
・6.00ct+:-37.5%
・1.60-1.69ct:-37.1%
・メモ取引比率:24.6%(2022年同期は17.8%)
Tenorisは、メモ取引比率の上昇は、業界の小売市場への不安を反映していると考えている。
・粗利率:34.8%(2022年同期は35.5%)
これは小売業者がより低い利益でより多くの売上を取ろうとしていることが反映されている。
天然ダイヤモンドの販売速度も遅くなっており、9月の小売店在庫の平均滞留期間は19ヶ月となった。(昨年の同時期は15ヶ月)これは、現在の小売業者の資金効率が低下していることを反映している。
一方、9月の天然ダイヤモンド市場の良い傾向としては、販売されるダイヤモンドの平均サイズが1.20ctに上昇したことが挙げられる。Tenorisは、大きなサイズのラボグロウンダイヤモンドの需要によって生じた「ハロー効果」だと考えている。つまり、アメリカの消費者は現在「より大きなダイヤモンド」を望む傾向にあり、業界はこれを推進する必要があるとTenorisは指摘している。
ラボグロウンダイヤモンド
・売上総額:前年同期比+4.5%、前月比-7.9%
・売上数量:前年同期比+38.3%、前月比-8.4%
・平均単価:-24.2%(前年同期比)
・粗利率:64.7%(若干増加、8月は64%)
・平均重量:2.00ct(若干増加、8月は1.97ct)
売上総額に関して言えば2ヶ月連続での一桁増加となり、Tenorisは、この成長減速が続けば、ラボグロウンダイヤモンド市場の縮小に繋がると考えている。売上数量の増加と収益の間にある大きなギャップは、ラボグロウンダイヤモンドの価格下落に直接結びついていると考えられる。そのため、小売店の平均単価は24.2%下落している。
Tenorisは、ラボグロウンダイヤモンドのマーケットを成長させるために、デビアスが「非生活必需品の価値を1世紀以上維持してきた方法」を学び、価格の下落停止に関心を持つべきだと指摘した。
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