英国の広告基準局(ASA)は4月10日、ラボグロウンダイヤモンド企業「スカイダイヤモンド」の広告に対して、天然ダイヤモンドではないことが明確に示されていないとして禁止する判決を下しました。
この広告は2023年3月に公開されたもので、広告内では「完全に空から作られた世界初で唯一のダイヤモンド」、「太陽、風、雨、そして私たちが過剰に摂取している大気中の炭素という4つの天然素材を使用してダイヤモンドを製造しています」などの文言が使用されており、また同社のジュエリーは「世界で最も希少なダイヤモンド」で作られているとも述べられていました。「グロウン」「ラボグロウン」装飾後は含まれていませんでした。
ナチュラルダイヤモンドカウンシル(NDC)は、スカイダイヤモンドがラボグロウンダイヤモンドを販売していて、それらの広告内でそのダイヤモンドが天然ではないことが明確になっているのかということに異議を唱え、ASAに申し立てをしていました。
スカイダイヤモンドは、エネルギー会社エコトリシティの創設者デール・ビンスが所有する企業で、大気中からキャプチャーした炭素を利用してラボグロウンダイヤモンドを製造していることで知られています。
同社はこの異議申し立てに対し、「広告グラフィックと情報から同社の製品が天然ダイヤモンドではないことが明らかであり、したがって『合成』や『ラボグロウン』などの修飾語は必要ない」と主張しました。また、採掘されたか製造されたかに関係なく「ダイヤモンドはダイヤモンドである」と判断した2018年の米国連邦取引委員会(FTC)の判決にも言及し、「ダイヤモンド」という用語は物の名称を示しており、起源を示したり説明したりするものではないと主張しました。
最終的にASAは、スカイダイヤモンドのマーケティングが重要な情報を省略した「不明確、理解不能、曖昧、または時期尚早な方法で提示したりするなど、誤解を招くものである」との判決を下しました。
また、英国成人2,100人以上を対象とした調査で25%がラボグロウンダイヤモンドの存在を知らなかったことから、ダイヤモンドという用語単独で使用した場合に一定数の消費者が天然ダイヤモンドであると誤解する可能性があることを指摘しました。
「広告にはすべて透明な宝石の画像やダイヤモンドへの言及が含まれていた」とASAの判決は指摘し、「ASAは、消費者が『ダイヤモンド』という言葉を、単独で自然に存在する結晶化した炭素からなる鉱物(つまり天然ダイヤモンド)を意味するものとして理解すると考えました。 私たちは、一部の消費者はラボグロウンダイヤモンドについて知っていたかもしれないが、多くの人は知らないだろうと考えました。」と説明しています。
さらに、ASAは、宝石が天然か人工かは多くの消費者にとって重要な考慮事項であり、したがって天然かどうかを明示することは重要な情報であると判断しました。
「したがって、消費者の誤解を避けるために、ラボグロウンダイヤモンドの広告は製品の性質を明確にする必要があると判断した。」と判決は述べました。「私たちはスカイダイヤモンドに対し、『合成』、『ラボ』などの明確で目立つ修飾語を付けずに、自社のラボグロウンダイヤモンドを『ダイヤモンド』、『完全に空から作られたダイヤモンド』、『スカイダイヤモンド』という用語を単独で誤解を招くような方法で使用しないよう、また「グロウン」または「ラボグロウン」、または同じ意味を消費者に明確かつ目立つように伝える別の方法を用いるよう、加えてラボグロウンダイヤモンドを説明するのに『本物のダイヤモンド』という表現を使用しないようにと伝えました。」とASAは説明しています。
日本国内においてもラボグロウンダイヤモンドの消費者認知度は低く、米国はもとより英国と比較しても非常に低いことが推測されます。インターネットなどではラボグロウンなどの用語を使用せず「〇〇ダイヤモンド」などのように天然ではないことを明示しない装飾語をつけて販売されているケースを見ることがありますが、消費者に対して明確に商品の特性を説明することは非常に重要です。
「ダイヤモンド」「本物のダイヤモンド」などの用語を単独で使用することを避け、ラボグロウンダイヤモンドであることが明確に消費者に伝わる用語の使用と広告を引き続きお願いできますと幸いです。
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